1985


「友よ、愛する読者諸兄よ、梶原一騎とのゴージャスなる「最後の晩餐」に堪能せよ!」

「一騎人生劇場 男の星座」
(画:原田 久仁信)
週刊ゴラク連載/1985年5/24号~1987年2/13号(未完)(※1986年3/7号~3/28号は休載)

黎明篇(全12回)/1985年5/24号~1985年8/9号

昭和29年12月。“プロレス巌流島の決闘”における元講道館の木村政彦の敗北は、彼を崇拝する柔道少年・梶一太の運命を大きく変える事件となる。ショックによる捨て鉢な気持ちから、暴力団との乱闘事件を起こし高校を自主退学。コック見習いのアルバイトも勤まらず、不運な身を嘆く彼に弟が薦めた漫画雑誌の懸賞小説への応募が新たな道へと導く。不遇の空手家・大山倍達との出逢い。取材のなかで、彼の口から“プロレス巌流島の決闘”の真相が語られるのだった。

春雷篇(全19回)/1985年8/16号~12/20号

梶原一騎のペンネームで書くプロレス実話がブームの波に乗りぽつぽつと売れていく一方、空手の道場へ通い始めた一太。練習後、先輩に誘われたストリップ小屋で人気ダンサー八神カオルを見た一太は彼女に恋をする。苦悶の末に成就した恋だが、身分の差が劣等感となり相手を傷つけてしまう。幾多のトラブルを乗り越え、力道山と交流を持つようになる一太の仕事が軌道に乗った頃、カオルを見染めるエリート男が現われた。

風雲篇(全18回)/1985年12/27号~1986年5/30号(※1986年3/7号~3/28号は休載)

カオルの将来を思い、自ら身を引いた一太は一層仕事に打ち込む。彼が仰ぐ二つの巨星、大山倍達が今だ不遇の身なれど、技術書の着手を始め胎動の兆しを見せていなか、プロレス王・力道山はルーテーズとの世界タイトルマッチで栄光の頂点に立つ。しかし、その栄光の裏側にある事実の数々に一太は驚愕する。やがて昭和33年。尊敬する父を胃癌で失ってしまうという梶一太生涯最悪の年が訪れる。

無頼篇(全21回)/1986年6/6号~10/24号

家族の生活を背負う長男の責任から早大進学を断念し、蒲田にバー“モンテクリスト”を開いた一太。地元の暴力団との衝突で何度も命を狙われる一方、店員の裏切りも発覚。折角築いた読物作家の地位も無くし、無頼の青春を過ごす一太を救ったのは、世界に飛躍した大山倍達だった。大山道場への通いが始まる一太は様々な弟子との交流を深めていく。

青嵐篇(全15回)/1986年10/31号~1987年2/13号

作家としての再起を決意し、再び仕事に意欲を燃やす一太。そんな彼を大山からの指示で影から支えた天才児・春山章は悲劇的な最後を遂げる。その事件のつながりから、スポーツ新聞紙に力道山物語を書くことになった一太。彼の才能に眼をつけた講談社の週刊少年漫画誌の編集長が、プロレス漫画の原作執筆の依頼に現われる。劇画原作者・梶原一騎にとっての運命の転機が訪れたのだ
電子書籍 全9巻

単行本:

日本文芸社/ゴラクコミックス全9巻

特別版全8巻(関係者のみに配付された非売品)

漫画名作館スペシャル全8巻

道出版刊/「梶原一騎原作漫画傑作選」全5巻

松文館刊/別冊エースファイブコミックス 上・中・下巻

(※道出版のダイジェスト版で『力道山・大山倍達・梶原一騎/男の星座』にタイトル変更)
日本文芸社/Gコミックス全4巻


「フッ…世の流れというものはそんなものよ 権力が分れて久しくなれば 必ずひとつにまとまろうとし ひとつにまとまれば また争いがはじまるものだ」

「火子伝説」
(画:古城 武司 /広岡 球志)
書き下ろし/1985.9/20(第1巻)~1987.3/25発行(第5巻)
協力:アポロ企画
5世紀後半の日本。国を二分する豪族である物部一族と蘇我一族が同盟を結ぶ為の政略結婚を行った。しかし、物部の首の娘・清姫は記憶を失い、敵対関係にある大伴一族の首に助けられ、息子と結婚。中国へ渡り、火子を出産した。大伴一族を滅ぼさんと物部・蘇我の攻勢は激しく、父を殺され母・清姫とも生き別れとなった火子は山賊の一味に拾われる。知恵と勇気で山賊の活動を勝利へ導く火子の噂は、神秘の少年として広まっていく。裏切りによって山賊一味は全滅し、また一人になった火子。母を救う為に強くなろうと拳法を学び、謎の怪僧・妖周天の教えにより強靱な技を身につける。だが再会を果たした母は、何者かに殺害されていた。犯人を追って火子は日本へ向かった。その後、元・物部一族の近衛兵タケヒコによって母殺害の犯人が妖周天と知った火子は驚愕する。困惑する彼を厩戸皇子との出逢いが救う。ついに対決する火子と妖周天。奇妙な術に翻弄され窮地に追い込まれた火子を救ったのは、物部一族に伝わる黄金の御神体だった。遂に復讐を果たした火子は、国を治める地位に就いた厩戸皇子の協力を断り一人旅に出た。自分が生きる新たな道を探すために。一度の別れを告げて火子が走らせた馬は何処へ消えていった…。
電子書籍 全5巻
単行本:

英知出版刊/全5巻(※梶原一騎没後完結)

鹿砦社刊/全5巻


1986


「これが拳闘だッ 科学も理屈もない!要するに根性だ!! 論より証拠 」

「ピストン堀口血戦譜 SLボクサー」
(画:影丸 譲也)
東京中日スポーツ連載/1986.1/4~1987.1/31(全325回)※月曜~土曜発売分に掲載(1986.1/5のみ日曜版に掲載)
●昭和6年。栃木県の柔道少年だった堀口恒男は、地元に巡業で来ていた“拳闘”とよばれるスポーツに魅了される。 翌年上京した堀口は巡業の主催者だった渡辺勇次郎の拳闘倶楽部へ入門。 防御は下手だが無類のタフネスさと攻撃力で“打たせて撃つ”ピストン戦法を武器に勝ち進む。昭和8年。フランスとの対抗試合が開催。フェザー級の代表選手として出場した堀口は見事優勝。豪快なピストン戦法は日本中を大いに沸かし、一躍拳闘界の雄となった。だが、好事魔多し。些細なもめ事から所属事務所が連盟から除名処分を受けてしまう。思うように試合が出来ない日々や脅威となりつつあった同門の新人・笹崎の存在により堀口は独立を決意。世間の非難は勝ち続ける事で黙らせていった。その後、戦争により消滅したかに思われた拳闘も再び興行を許され堀口もリングに復活。しかし彼はパンチドランカー症状に蝕まれていた。近代化によりボクサーのスタイルも変わってゆく中で、己を貫き、戦い続けていった堀口。そのファイティングスタイルを継承した弟が敗れた後、リングを去った。一介の社会人として第二の人生を歩き始めた昭和25年10月24日深夜。酒に酔い貨物列車にはねられて死亡。戦歴176戦138勝(82KO)24敗12引き分け。その生涯は拳闘に生き、そして拳闘に死したのだ!
電子書籍 全3巻
単行本:

JICC出版局(現:宝島社)刊/JICC COMICS 全3巻

その他:

※原作:梶原一騎著『名勝負物語』東京中日新聞連載(昭和34年)

※堀口の死後、孫のエピソードが描かれたが(連載321~325回)、単行本未収録。

※単行本化により「ピストン堀口物語」に改題。